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今年で14度目を数える、ライジング・サン・ロック・フェスティバル、北海道の石狩湾新港樽川埠頭横野外特設ステージで8月10日、11日の2日間開催された。
初日朝9時まで降っていた雨も上がり、はやる心を抑え会場へと急いだ。いつも通りの小さな矢印だけを頼りに進んで、渋滞の最後尾に着き駐車場にたどり着くとそこからゲートまでは5分ほど。右へ行けばフォレストゲート、左へ行けばヘブンズゲート。関係者受付でリストバンドをつけてもらい、撮影用帽子を受け取ってゲートへ。いつもより人影まばらに見えるのはレイアウトのせいか?
JTコーナーで一服している間に連れが音楽処の石川千鶴子オーナーと遭遇。お互い年々体力勝負の夏フェスになっているのを再確認。
さてレジャーサイトに場所を確保したら、まずはウェルカムドリンク。FM NORTH WAVEとAIR−G’のブースの間にあるSAPPORO BEERでSUN STAGE(以下サンステージ)トップバッターのフジファブリックをBGMに乾杯。贅沢な“取りあえずの一杯”ではある。
喉を潤したら場内をチェック。サンステージからほど近いところに新設のdefgarage(以下デフガレージ)というテントがある。のぞいてみると矢沢洋子がアクトの真っ最中。これがなかなかカッコイイ。このステージはこれからサンステージへ駆け上がっていくアーティストを目指す気鋭のアーティストがラインナップされている。
時々チェックしてお気に入りのアーティストを見つけるのもこういうフェスの楽しみである。そうこうしてるうちにサンステージでは2番手のPerfumeが登場。ステージ前は早くも歓喜の咆哮でどよめいている。矢継ぎ早にヒット曲を繰り出し、合間のMCで観客に「外内外外、内外内内」と手振りを伝授。頭にこびりつきそう。
やがて陽が傾き出す。RADWIMPSを聞きながらレッド・スターフィールドへ移動。今年は去年とステージの向きが違うせいか風の流れかサンステージの音が結構聞こえてくる。
アッコちゃんはついうっかり「うるさいわねえ。」と口にしてからあわてて「いけないわよね。そんなこと言っちゃ。みんな一生懸命やってるのよね。」とフォロー。上原ひろみも苦笑。矢野顕子と上原ひろみ、ビジュアルからは想像しにくい迫力で、この二人にかかればピアノも打楽器と化す。「あんたがたどこさ」も「ラーメン食べたい」もなんてアグレッシヴな・・。
その先のレインボーシャングリラではきらめくライトの中te’が暴れている。するとレッドスターカフェのあたりからオッサンの声でPerfumeの「レーザービーム」が聞こえてくる。どこかで聞いたことのあるような・・・まさかの奥田民生がシークレットで登場。実はいきなり「ラーメン食べたい」をやって、ライブを終えたばかりのアッコちゃんが飛び入りしてきたそうな。2曲目にPerfume、3曲目にはなんとRCサクセションの「ドカドカうるさいR&Rバンド」をやって大盛り上がり。そこへサンステージから斎藤和義の音が流れてくると「うるせ―なー」と民生氏なんと「歌うたいのバラッド」をやって観客大喝采。「さすらい」は全員で大合唱となった。
毎年告知なしで行なわれる『RED STAR CAFE LIVE』(@RED STAR CAFE)。 今年は、その名も<東北ライブハウス大作戦 in RED STAR CAFE>と題し、 東北三陸沖沿岸地域でのライブハウス建設を目指している「東北ライブハウス大作戦」プロジェクトへの応援LIVEを展開、ステージ横のブースではパネル展示や募金活動またグッズの販売も行っていた。
夕映えがすっかり闇に溶け込んだ頃、アーステントでは雅‐MIYABI、デフガレージではHEY-SMITH、ボヘミアンではPHONO
TONESがとそれぞれの観客を酔わせていた。
とっぷり日も暮れ、ボヘミアンの怒髪天RSR夏SPへ足を運ぶ。多少ぱらつく小雨も気にならないほど、木立に囲まれたこの一角は熱い。「ビール・オア・ダイ」の大合唱が夜空にこだまする。ここでも「雨上がりの夜空に」を聞き、忌野清志郎の置き土産がライジングの中に息づいていることに気づく。深夜になり東京スカパラダイスオーケストラ、電気グルーヴ、THE
BLUE HERBらライジング常連組がキャンパーを喜ばせ、一日目終了。
二日目のトップバッター、サンステージは16年ぶりの復活プリンセス
プリンセス「Diamonds」から。岸谷(奥居じゃなくなった)のMCも力が入る。リアルタイムで知らない世代にもカバーでおなじみの「M」の本家本元を聞かせ、「世界で一番熱い夏」、「GET CRAZY」「19
GROWING UP」と渾身のパフォーマンスにオーディエンスも熱く応え、華やかなオープニングとなった。そして真夏の日差しが降り注ぐ中、この日もTHE
BAWDIES、アンジェラ・アキ、ASIAN KUNG‐FU GENERATION、THE BACK HORNとあちこちでバトルのようにライヴが繰り広げられ、フィッシュマンズのステージでは客があふれ出る場面も見られた。初参戦のSuperflyがサンステージで大勢を魅了する同じ時刻、デフガレージでは後藤まりこが闘志満々のエキセントリックなステージで観客をひきつけ、アーステントでは9mm
Parabellum Bullet、レッドスターフィールドではSPECIAL OTHERSが続々と客を沸かせている。マキシマム ザ ホルモンにとっては恒例の花火でさえオープニングアクトのように、打ち上げが終わると同時にスタートし、観客も一斉にヘッドバンキング。そしてBRAHMAN、ONE
OK ROCK、LOSALIOS、Leyona、ヒダカトオル、曽我部恵一、MO‘SOME TONEBENDER、POLYSICSらが続き火花を散らす。ラストはエレファントカシマシによって、バラ色の朝焼けを迎えながらフェスの幕を閉じた。
心配された天気も奇跡的に持ちこたえ、2日間で延べ58,550名を迎えた今年のライジング。確かに駐車場は近くなった。新しいレイアウト、新しいステージ。リピーターには若干の戸惑いがあったかもしれない。トイレの場所が遠いとか、ごみ箱の設置個所が少ないとか。逆にサンステージとボヘミアンが近くなったとか、レストランが分散して通路が広くなったとか。道外客からは「ライジングは他のフェスに比べて食事のレベルが高いんだよね。」という声も聞こえた。スタッフとアーティストと観客みんなで作り上げ、毎年進化し続けるフェスというスタンスは変わっていなかった。自己責任の上に生まれる自由と感動と興奮をより良いものにしていくために、それは常に参加する側も考えなければならないところなのだが、今年はいつにもまして満足度の高いフェスになった気がする。一つ一つのパフォーマンスはじっくり楽しめる。ベテランから新進気鋭のアーティストまで、大小様々なステージをチョイスできる。飛び入りや、シークレットライブなどのサプライズもふんだんにあった。そして音楽を楽しみながら過ごす環境も年々快適さを増し、野外でキャンプでと言いながら、家族連れの増え方は驚くほどで、観客層の世代もずいぶん幅広くなってきている。それだけ楽しみ方の幅も方向性も広がってきているということか。
また来年何が、どんなふうに起るのだろうか。「最高の朝日が主役なんです。予定調和は要らない。」といったRSRプロジェクトチーム西木プロデューサーの言葉がよみがえった。
(文・写真:音楽ジャーナリスト 内記 章:2012年8月14日)
ライジング2012観戦記のリポート=ノーザン・エンタメ・アイズの簡略版が
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