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年頭から心痛める出来事に見舞われた2024年。昨年から続くツアーのファイナル。ここへ来てツアータイトルがいやというほど身にしみる。みのやの歌を必要としている人、助けられている人、いつにもまして世の中が荒れ、人の心が痛みに打ちのめされている時、ミスタースターダストみのやの存在は、大きく深く、そして温かく、聞くものを包んでくれるにちがいない。しんしんと雪が降る中、そんな思いで会場へ足を運んだ。
会場を埋め尽くした観客のざわめきがひとしきり落ち着くと、みのや登場。スタートは「夢しかなかった」、お馴染みの曲でみのやのこれまでの来し方が鮮やかに浮かびあがる。次にちはらさきにに書き下ろした「雪の花」で観客との距離をグッと縮め、いつもの様にウィットに富んだMCで客席は早くもみのやワールドに引き込まれていた。
「GOAL」、MCをはさんで「笑えないピエロ」と、いつのまにか心に中で一緒に口ずさんでる自分がいる。「午前0時の向こう側」、「さよならの花が咲く」、「母さん」に続き、「道」、「伏線回収」と、ギターの弾き語りやバンドサウンドで、タイプの違った作品に卓越した歌唱力と豊かな表現力で命を吹き込み、客席はこれが聴きたかったと言わんばかりの感慨無量の面持ちで一部が終了。
10分間の休憩をはさんで「がんばってね」のギターの弾き語りで二部が始まり、その後のMCでは親交の深かった故・奥山コーシン氏との想い出や、今も月刊誌「O.tone」で連載中のコーナー『星屑の自問自答』の誌面内容をみのや自身がキャラクター別に語り直すユニークな企画コーナーで大いに沸かせ、それを落ち着かせるように「天国があるなら」、続いて尾崎豊との初対面の話をした後、引き語りで聞かせた「I
LOVE YOU 」のカバー、名曲「百の言葉 千の想い」を届けると、会場に感動の波が押し寄せた。
昨年から今年にかけて惜しくも亡くなってしまったKANはじめ、谷村新司、大橋純子、八代亜紀と彼にとっても大切だったアーティストの話にも触れながらコンサートは終盤に向かうにつれ今度はノリの良い楽曲が続き、客席のボルテージは最高潮で幕を閉じた。
アンコールに応え再び顔を見せると「胸いっぱいの人生」、「傷ついた翼」、「冬春夏秋」を聞かせ全21曲を歌い切り、満場の客席に確かな満足と大きな勇気を与えてくれた。その巧みに演出・構成されたステージ進行は正にミスタースターダストみのやならではだった。
この日披露された「GOAL」の歌詞にこうある「GOALはきっと新しいSTART」。過去に負けたくない、と常に史上最高の一年を目指すみのや。昨年より今年、今年より来年と着実に前年のハードルをクリアしてきた彼にとって、より良いものを目指すのは当たり前のことだ。しかしそれは意気込みだけでかなえられるものではない。けれども、みのやというアーティストは常に目指すその先を見据え、ぶれない。だからこそ、その背中に勇気づけられ、励まされ、その歌に癒され、温められる。
今回のステージからは放射状に広がっていくパワーというより、真っすぐに同じ視線の高さから迫ってくるモノがひしひしと感じられた。ステージ上のみのやはいつも以上にスタイリッシュでカッコ良かった。
毎年リアル・ライブツアーファイナルで、前回を超えてくるみのやに出会えることが楽しみである。
(音楽ジャーナリスト 内記 章)
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